全託の道

       

 このインタビューでは、シュリ・サティヤ・サイ大学の教職員である、シュリ K.アニル・クマール教授が、サイ大学元副学長であるG.ヴェーンカタラーマン博士に、バガヴァン ババの古くからの熱烈な帰依者であったシュリ・ラーマブラフマンとシュリ・カマヴァダニの人生から、興味深く、啓発的な出来事の数々をお話しになっています。お二人共、「全託の道」を歩み、バガヴァンの恩寵と近しさを手に入れた帰依者の方々です。

GV:ヴェンカタラーマン博士
AK:アニル クマール教授


GV: 何人かの古い時代の方々についてお話しいただきたいと思います。というのは、そのような人々は今では我々が当然と考えていることを形作るという大変重要な役割を果たしてきたからです。彼らは開拓者です。そのような開拓者たちを思い起こすのは適切なことです。あなたがよく口にされるお名前の一つは、シュリ・ラーマブラフマンです。ラーマブラフマン氏について、最初に彼を知った時のことを少し話していただけますか?

AK: シュリ K ラーマブラフマンは、アーンドラ・プラデーシュ州のクリシュナ地区の人でした。私はラーマブラマン氏を30年間知っていました。1989年にバンガロールのサイ大学、ブリンダーヴァン キャンパスの校長になって以来、私は氏と親しく行動を共にしました。氏は当時の管理人であり、ほぼ毎日、私を訪れてくれました。当時、私の妻は一緒に来ていませんでしたし、子どもたちもまだ学校に通っていたので、私は自分に与えられた住宅に一人で住んでいたのです。当初はスワミに対してどう振る舞えば良いのかわからなかったので、氏がやってきては激励してくれたものでした。氏は最も信仰深いサイの働き手として奉仕していました。とりわけ優れた帰依者でした。

GV: 実際、ラーマブラフマン氏はいつ頃スワミの許に来られたのですか?
AK: スワミの許に来て30年になるとおっしゃっていました。
GV: つまり、氏がそうおっしゃったのが1989年ですから、1959年頃のことに なりますね。
AK: 氏はバンガロールに住んでいました。
GV: では、プッタパルティの人ではなく、バンガロールの人だったのですね。
AK: 当時のバンガロールは、森ばかりで建物などありませんでした。
GV: スワミは当時、多くの時間をバンガロールで過ごされたものでした。
AK: 中央の古い建物以外、何もありませんでした。真ん中にスワミの建物があるだけだったのです。今、私たちが見ているような電灯もついていませんでした。当時の人々は蛇が這い回る中を歩いていたのです。ラーマブラフマン氏から学ぶことは本当にたくさんあります。氏は自分の仕事を、生計を立てる意味でのブリンダーヴァンの管理人とは決して考えませんでした。氏は、私にこう言いました。
「決してこれがあなたの仕事だと考えてはなりません。大学があなたの働く場所だと考えてはなりません。これらは自分に属しているものだと考えなさい。自分の所有地を世話するように、スワミの大学と学寮の世話をするのです。自分の子どもたちの面倒をみるように、学生たちの面倒をみなさい」
 ラーマブラフマン氏はずっとそのような気持ちを抱いていました。しかし、氏に関する最も素晴らしいことは、氏が決してスワミに何も祈らなかったことです。ラーマブラフマン氏は言いました。
 「バガヴァンには、決してどんな個人的なお願いもしてはなりません。バガヴァンは一切をご存知です。あなたがバガヴァンの仕事をするなら、バガヴァンがあなたの仕事をしてくださいます」
 なんと素晴らしい言葉でしょうか! ラーマブラフマン氏には三人の息子がありました。彼らはよくブリンダーヴァンの両親を訪ねてきたものです。子どもたちはいつも帰依者たちと一緒にアシュラムの外に泊まっていました。ラーマブラフマン氏は、絶対に自分の子どもが来たことをスワミに告げなかったのです。しかし、スワミはいつもおっしゃいました。
 「ラーマブラフマン、あなたの長男が来ています。長男に部屋を割り当てなさい」「ラーマブラフマン、あなたの次男が来ています。次男に部屋を割り当てなさい」 ラーマブラフマン氏は私に言いました。
 「私たちは、決してスワミにどんなお願いもするべきではありません」
神は私たちの面倒を見てくださいます。私たちはただ、自分の仕事をすれば良いだけなのです。もう一つ、氏がおっしゃった素晴らしい言葉があります。私は尋ねました。
 「あなたはなぜ、バガヴァンの御前でそんなに生真面目なのですか? あなたが笑ったり、ジョークを言ったりしたところを見たことがありません。あなたは手を組んで、まるで軍人みたいに突っ立っていますね」
ラーマブラフマン氏は言いました。
 「いいですか、私はあなたが見ているようにはスワミを見ていないのです。私には、スワミの額に平行して並ぶ3本のヴィブーティが見えています。それは、私に自分が神の御前にいることを感じさせるのです。私には笑えません。スワミを気安く扱うことなどできないのです。それゆえ、私は常にそのような気持ちを抱き続けているのです」

 また、氏がおっしゃった別のポイントがあります。
 「もしあなたがずっとスワミと共にいたいのなら、何であれ、利益を求めずにスワミの命令に几帳面に従いなさい」
 氏は自分の人生から実例を挙げてくれました。あるとき、スワミはラーマブラフマン氏にこうおっしゃいました。
 「なぜあなたの奥さんは、あんなに大声で叫び続けているのですか? 私には彼女の声が聞こえています。マンディールにいる人たちにも聞こえています」
 翌日、ラーマブラフマン氏はバンガロールから車で17時間かかるクリシュナ地区の自宅に奥さんを降ろして置いてきました。それから氏はスワミに報告しました。
 「スワミ、妻はもうここにおりません。あなたが妻のうるさい声に煩わされることはありません」 そして、一週間たち、スワミはラーマブラフマン氏にお尋ねになりました。
 「奥さんはいつ帰ってくるのですか、ラーマブラフマン? 」
 「わかりません、スワミ」と、ラーマブラフマン氏は答えました。
 2、3日たって、またスワミがお尋ねになりました。
 「奥さんはいつ帰ってくるのですか、ラーマブラフマン? 」
 「わかりません、スワミ」
 この神聖なロマンスは長い間続きました。とうとうバガヴァンは厳しい調子でこうおっしゃいました。
 「ラーマブラフマン、もし奥さんを連れて来ないのなら、私があなたを行かせます」 ですから、氏は行って奥さんを連れ戻して来なければならなかったのです。氏は言いました。
 「バガヴァンか妻か、どちらか一人を選ぶという二者択一がありました。私は妻ではなく、バガヴァンを選んだのです」

GV: それは、スワミがプラフラーダやミーラや皇帝バリなどの偉大な帰依者たちについて頻繁におっしゃる物語と、非常によく似ていませんか? このカリの時代にさえ、シュリ ラーマブラフマンのような方がいらっしゃるのですね。妻と神との二者択一の例はこれまで知りませんでした。これは古典的な実例です。

AK: また、ラーマブラフマン氏はおっしゃいました。
 「私たちは、注意深くスワミに従わなければなりません。何事も当然のことと考えてはなりません」 氏は一つ例を挙げてくれました。バガヴァンは、氏にご自分のオジンジ色のローブを着るようにおっしゃいました。ラーマブラフマン氏は頑丈な体格で、大柄な人物でした。氏は言いました。
 「スワミ、私の頭はあなたのローブを通りません。どうしてこれを着ることなどできるでしょう? 」 スワミはおっしゃいました。
 「いや、駄目です。あなたはそれを着なければなりません」
 氏はやっとのことで、頭をローブに押し込むことができました。呼吸が苦しくなり、涙があふれそうでした。しかし、氏がローブを身につけ始めたとき、ローブは伸び始めました。そして、とうとうローブはラーマブラフマン氏のサイズにぴったり合ったのです。シュリ ラーマブラフマンは言いました。
 「スワミがあなたに何かをするようおっしゃる時は、あなたがその任務を果たせるよう、スワミが取り計らってくださるのです」

GV: その体験は、氏にスワミの神性を体験させたのでしょうか?
AK: 氏はいつもそのことをおっしゃっていました。別の例を挙げましょう。あるとき、スワミが氏をお呼びになりました。
 「ラーマブラフマン、ここへ来なさい」
 ラーマブラフマン氏はちょうど手に魔法瓶を持っていました。氏は、魔法瓶を持ったまま、スワミのところに行くのはふさわしくないと考えました。そこで、台所へ行って魔法瓶を置いてから、階段を上ってスワミのところへ行きました。すると、スワミはおっしゃいました。
 「私は2、3分前にあなたを呼びました。お帰りなさい」

 あるとき、ブリンダーヴァンで大きな掘り抜き井戸を掘っていました。ボランティアのセヴァダルたちがその仕事をしていました。20〜30フィートの深さまで掘ったにもかかわらず、水は出てきませんでした。そこへ偶然、ラーマブラフマン氏が通りかかりました。セヴァダルたちは言いました。

 「もしもし、あなたもバール(鉄梃)で井戸掘りを手伝ってくださいませんか? あなたのような帰依者の手を借りれば、おそらく水も出るでしょう。私たちの努力は無駄でした。あなたは古くからブリンダーヴァンにおいでのお方です。さあ、このバールを持ってちょっと手伝ってください」
 ラーマブラフマン氏は当時70歳でしたが、自分の年齢を忘れてバールを手に持ち、井戸掘りを始めました。その途端、水が噴き出しました。しかし、氏は帰り道で滑って転んでしまったのです。シャツとズボンが汚れてしまいました。バガヴァンにご報告に行く時間でした。氏はすぐに服を着替え、バガヴァンに報告しました。バガヴァンはおっしゃいました。
 「あなたがあそこで転んだとき、私は即座に助けに行きました。しかし、数ヶ月前、私があなたを呼んだとき、あなたは台所に行って、ここに来るまでに時間がかかりました。あなたは私の仕事に遅れました。しかし、私は遅れませんでした。私は即座にあなたを助けに走ったのです。このことから、あなたは学ばなければなりません」
 かつて、ラーマブラフマン氏はよく帰依者たちに言ったものです。
 「これは私の体験です。私たちがバガヴァンにすぐ助けにきてくださることを期待するのと同様に、私たちもバガヴァンの仕事に遅れてはならないのです」

 また、ラーマブラフマン氏は別の体験を語ってくれました。ある日、スワミは突然おっしゃいました。  
 「ラーマブラフマン、あなたの次男が亡くなりました。奥さんに話してはいけません。奥さんはショックを受けるでしょう。あなた方夫婦は故郷へ帰りなさい。しなければならないことを全部済ませて、また戻ってきなさい」
 夫妻が故郷に着いた時、奥さんは初めて亡くなった息子の遺体を見ました。17時間のあいだ、この人はスワミが妻には何も言うなとおっしゃったために固く口を閉ざし、何があろうと一言も漏らさなかったのです。夫が何も言わなかったことを知った後、なおさら奥さんは気分を害していました。
 ラーマブラフマン氏は言いました。
 「私はきっと何もかもしゃべっていただろう。しかし、スワミが私に命じられたのだ。17時間も旅をしないといけないから、おまえには何も話してはいけないと。母親として、おまえはそれに耐えられなかっただろうから」

 二人はお葬式を済ませると、ブリンダーヴァンに戻ってきました。奥さんは泣き始めました。
 「ああ、神様! 私たちは息子を失ってしまいました」
 スワミはおっしゃいました。
 「なぜ泣いているのですか? あなた方の息子は私と一緒にいますよ」
 「スワミ、息子はあなたと一緒にいるのですか? 」と奥さんは尋ねました。スワミはお答えになりました。
 「ええ、彼は私と一緒にいます」 スワミはお尋ねになりました。
 「あなた方は息子に会いたいですか? 」 そして、バガヴァンは夫妻にインタビュールームの中へ入るようにおっしゃいました。
 二人は自分たちの目で、すでに火葬してきた次男がそこに座っているのを見ました。スワミが「彼は私と一緒にいます」とおっしゃるとき、彼は本当にそこにいるのです。
GV: 明らかに、これはそういった体験の最初のものではありません。他にも多くの人が、そのような体験をしています。私はヴェーンカタギリのラージャ(藩王)と話をしました。現在の若いラージャの方です。この一家を何年か待たせた後、スワミが初めてヴェーンカタギリへ行かれた時、彼(今は亡き年長のラージャ)は最初にお願いしました。
 「私は亡くなった母に会いたいのです」 スワミはおっしゃいました。
 「あなた方はお母さんと、おばあさんに会いたいのですね!」スワミは壁を見つめ、彼女の名前を呼ばれました。彼女は壁の中から歩いて出てきました。ラージャは母親に触れました。母親は生身の肉体を持っていたのです。ラージャは母親と話をしました。

AK: シュリ ラーマブラフマンは他の例も挙げてくれました。それは、氏が出席しなければならなかった孫娘の結婚式のことです。氏は個人的にバガヴァンに招待状を出していました。スワミは、
 「あなたが行きなさい」とおっしゃいました。孫娘の結婚式は15日だったので、氏はバガヴァンが14日に行くように言ってくださることを期待していました。しかし、スワミは何もおっしゃいませんでした。結婚式が終わってから、スワミはお尋ねになりました。
 「ラーマブラフマン、なぜ行かなかったのですか?」そこで、氏は答えました。
 「バガヴァン、私は肯定的にとらえています。私は、あなたが私に結婚式に出席してほしくなかったと感じています。ですから、何もお聞きせずに黙っていました」 バガヴァンはおっしゃいました。
 「グッド ボーイ(良い子だ)、これぞ帰依者の印です」
 ラーマブラフマン氏には、どんな人間関係も仕事もなかったのです。バガヴァンの許に来る前、氏はタバコ事業に携わっており、大変なお金持ちでした。現金を数える暇もないほどだったのです。

GV: その後、ここで管理人として働いた、ということですね。一体どうしてラーマブラフマン氏はスワミの許に来ることになったのでしょうか?

AK: 不幸なことに、氏は全財産を失ってしまったのです。その時、氏はスワミの許にやって来ました。息子たちは、スワミが40年もの間、自分たちの両親の面倒を見てくださったことに大変感謝しています。息子たちは言いました。
 「うちの両親は、一度も私たちの家に泊まってくれません。一方、私たちはいつも両親の客です。両親が私たちの客になってくれたことは一度もありません」

 もう一つの出来事をお話ししましょう。それは、シュリ B.D.ジャッティがインドの副大統領だったときのことです。ジャッティ氏は学寮の建物の落成式を執り行った方の一人です。バガヴァンの熱心な帰依者でした。印パ戦争の頃のことでした。インディラ ガンディー首相はバガヴァンの祝福を求めて、はるばる遠くからシュリ B.D.ジャッティを使者に遣わしました。ジャッティ氏は特別機でやって来て、まっすぐブリンダーヴァンに向かいました。夕方6時のことでした。バガヴァンは既に一日を終えて休んでいらっしゃいました。ジャッティ氏は当時の副大統領だったので、閣僚や地方当局の権威者、カルナータカ州の主席大臣、といった多くの護衛たちを伴っていました。ジャッティ氏は、その人たちの前でラーマブラフマン氏に頼みました。
 「私は夜が明ける前に首相に報告しなければなりません。どうかスワミに、私がここで待っているとお伝えください。私はすぐに行かなくてはなりません」 ラーマブラフマン氏は言いました。
 「申し訳ございません、閣下。私の首を持って行かれても結構です。しかし、私にバガヴァンのお部屋のドアを叩かせ、バガヴァンにあなたとお話しするよう要求させることは絶対にできません。それは不可能です! バガヴァンがひとたびお休みになった以上、誰であれ、あえてドアを叩くことはしません。申し訳ございません、お望みなら私の首をお持ちください。以上です」
 すると、シュリ B.D.ジャッティは合掌して尋ねました。
 「わかりました、貴下。では、どうすれば良いのでしょうか? 」
GV: インドの副大統領がそうおっしゃったのですか?
AK: 「たった一つお薦めできることがあります、閣下。ここにお座りください。床にうずくまり、サイラムを唱えるのです。そうすればスワミが閣下の面倒を見て下さるでしょう」と、シュリ ラーマブラフマンは言いました。ジャッティ氏は他の閣僚たちと共にそこに座り、サイラムを唱えました。どうなったと思いますか? 30分過ぎて、ラーマブラフマン氏はスワミの部屋から物音がするのを聞きました。スワミはドアを開けて、こうおっしゃったのです。
 「ラーマブラフマン、すぐに行きます。ジャッティが私を待っています。ジャッティに私がすぐに行くと伝えなさい」 スワミは階下へ降りてこられ、伝言を携えてきたジャッティ氏と話をされました。ラーマブラフマン氏は言いました。
 「もし私がスワミの指示に従っていなければ、ジャッティ閣下は困ったことになっていたでしょう。私も困ったことになっていたでしょう。それは私にとって非常に悪い経験になっていたでしょう。それ以上に、それはスワミが緊急事態 ― いつ、どこで、どのように話をする必要があるか ― をすべてご存知であることを明らかにしました。誰であれ、バガヴァンを強制することはできません。すべての人がバガヴァンを待たなくてはならないのです」 それが、ラーマブラフマン氏がよく私におっしゃっていたことです。
GV: あなたはラーマブラフマン氏を至近距離から見てこられ、親しいお付き合いがありました。他にも非常に多くの方々を見てこられ、そのうち何人かとは親しく交際されています。当時、バガヴァンがお持ちになっていた忠実な帰依者のような人々は、現在では少ないのでしょうか? あるいは今も、確固たる一意専心の信愛を持つ人々はいるのでしょうか? 環境や風潮が変わったために、昨今の人々は変わったと思われますか? あるいは、帰依者はいつでも変わらず帰依者なのでしょうか?
AK: 生活のあらゆる分野における基準値が低下しています。ですから当然、この分野においても低下があります。
GV: それは、帰依者たちがこういった体験を持たないからでしょうか? あるいは、それ以外に何か理由がありますか?
AK: 昔の帰依者たちは、バガヴァンに対して極めて強い愛を抱いていました。彼らにとってはバガヴァンへの愛が最優先だったのです。今日の状況はそうではありません。私の意志、私の動機、私の願望が一番で、帰依は二番目です。しかし、昔の帰依者たちの場合、帰依が一番で、他のことは二番目でした。ですから、優先順位が違うのです。

GV: スワミはまた、一切を放棄して家に帰ることさえ拒否したヴェーダ学者のシュリ カマヴァダニについてもお話しになっています。同様の偉大さを持った他の帰依者たちについても、お伺いできれば素晴らしいと思います。シュリ カマヴァダニについては、何かご存知ですか?
AK: バガヴァンからお聞きしたこと以外はあまり知りません。
GV: わかりました。ではそれを話していただけますか?
AK: バガヴァンは、シュリ カマワダーニについて、幾つかのことをおっしゃいました。
GV: あなたはカマワダーニ氏にお会いになったことがあるはずです。
AK: 会ったことがあります。
GV: 話をなさったことはありますか?
AK: あります。バガヴァンは、カマヴァダニ氏について幾つかのことをおっしゃいました。氏は偉大なヴェーダ学者でした。つまり、この分野でカマヴァダニ氏に匹敵する人はいなかったのです。氏はそれほど卓越していました。氏はあらゆるヴェーダに精通しており、アーンドラ プラデーシュ州、特に東ゴーダーヴァリー地区において最も尊敬されていた人物で、大変裕福でもありました。しかし、氏は家族に別れを告げ、一切の財産や子供や孫を残して、ここ、プラシャーンティ ニラヤムに定住したのです。
GV: それは、ずいぶん昔のことでしたね?
AK: ここで、学生たちにヴェーダを教え始めたのはカマヴァダニ氏です。当時はヴェーダの学校がありました。氏は学生たちを訓練していました。氏はダサラー祭の儀式をすべて担当し、当然のことながら、ダサラー祭の儀式のときは他の人々の声に比して、簡単にシュリ カマヴァダニの声を聞き分けることができました。百人ほどいたと思いますが、それでもシュリ カマヴァダニの声は、明瞭なゴールデンボイス(素晴らしい声)だったのです。マントラ(真言)とはそのように唱えなければならないのです。氏は学者であり、偉大な信奉者でもありました。ここへ来た以上、氏は決して(家に)戻りませんでした。ところが、たまたまバガヴァンが東ゴーダーヴァリー地区を旅行されたとき、氏にもついてくるよう望まれて、帰郷することになりました。シュリ カマヴァダニは東ゴーダーヴァリーの出身で、氏が住んでいた村もまたバガヴァンの旅程に入っていたのです。それが、バガヴァンの計画なさるやり方です。バガヴァンはお思いになったのです。
 「この男はずっと自分の村に帰っていない。家に帰らせて、しばらく家族と一緒に過ごさせてやろう」
 バガヴァンはカマヴァダニ氏を連れて、まっすぐ氏のお宅を訪問されました。皆が一行を歓迎し、スワミはそこで良い講話をされました。最後になって、子どもや孫たちがシュリ カマヴァダニに言いました。
 「久しぶりにお帰りになったのですから、2日ほど私たちと共に過ごして、それからまたバガヴァンのご一行に加わられてはいかがですか? 」
 この人(カマワーダニ氏)は言いました。
 「とんでもない。私は今すぐに発つ。私はバガヴァンの東ゴーダーヴァリー地区の旅行に従ってきただけだ。ここに留まるつもりなど毛頭ない」 そして、氏はバガヴァンについて行ったのです。
GV: それで、スワミはなんとおっしゃったのですか?
AK: スワミはただ、そのドラマを見て、シュリ カマヴァダニの信愛を賞賛していらっしゃいました。はるばる遠くから自宅に帰ってきたにもかかわらず、シュリ カマヴァダニは、一日かそれより短い時間しか自宅に滞在できなかったことを後悔することもありませんでした。
GV: 氏は百歳の天寿を全うされたと聞いています。
AK: ええ、亡くなられた時は百歳を越えていました。毎日、氏は朝夕スワミにご報告をして、スワミは氏にパーダ ナマスカール(御足への礼拝)をお許しになっていました。ある日、スワミは氏におっしゃいました。
 「家に帰りなさい。午後は会いに来なくてもよろしい」
 氏は自宅に戻り、プージャ(儀式)を執り行い、食事を済ませ、最期の息を引き取りました。それゆえ、バガヴァンは氏にもう来なくてもよいとおっしゃったのです。それは、カマヴァダニ氏がマンディール(寺院)でシーターラーマ カッリャーナム(結婚の儀式)を執り行った日のことでした。ヴェーダの指示に従って神聖な結婚式を執り行い、贅を凝らした昼餐をいただき、心地よく座ったまま、カマヴァダニ氏は肉体を脱ぎ捨てたのです。

GV: まだまだ話は尽きませんが、そろそろお疲れでしょう。この辺で終わりにさせていただきたいと思います。


ラジオ サイ グローバル ハーモニーより転載
出典:サナータナ サーラティ 2004年7月号




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