全能の教師

       

 
 バガヴァンの蓮華の御足に、そして尊敬する先達、兄弟姉妹の皆様にお祈りを捧げます
 
 今からわずか50年あまり前、一人の幼い少年が、世界に向けて次のように宣言しました。
「マーナサ バジャ レー グル チャラナム ドゥスタラ バヴァ サーガラ タラナム ― 姿をとって現れた神の蓮華の御足を崇めなさい。神はあなたを安全にこの荒れ狂う海の向こうへ渡らせてくれます」 

 今日、世界中の人々が神の御足の元に座って人生の教えを学び、人生と呼ばれる謎を解いているのを見出します。私自身の人生のタペストリーを振り返ってみると、母を亡くした内気な少年時代から、今、私が立っている全世界の聖地、神がお話しになる言葉を神の御前で聞ける所まで、スワミがいかにして私を導いてきてくださったかに気づきます。スワミが与えてくださった数々の御教えは鮮明に覚えていますが、初めて私がスワミから学んだ御教えをお話しさせて頂きたいと思います。
 
 私はこの国のある大都市に住む高校生の少年でした。ぶらぶらした生活を送り、まるで下水管の汚物で人生を満たすような暮し振りでした。その当時、学校の真向かいには映画館があったのですが、人生で重要なことを学ぶ最善の方法は、教室の中ではなく、四方を壁に囲まれた映画館の中で過ごすことだ、と学友たちから助言されました。そこには三つの映画館があったのですが、私はほとんど毎日そこで過ごしていました。主であられるサイが、私の人生を変える決意をなさったのはその時でした。サイは私の人生に足を踏み入れ、その後、私の人生は決して元には戻らなかったのです。
 
 ある日、私が父と共にブリンダーヴァン(ホワイトフィールドのアシュラム)へ行った時、スワミは私たち親子をインタビューに呼んでくださいました。私たちが入室すると、スワミは私を見つめ、頬を軽く叩きながら、
 「グッドボーイ(良い子だ)」
 とおっしゃいました。私とても嬉しく思いました。なぜなら、それはスワミからの証明書であり、本当の私がどのような人間であるかは誰にもわからないと思ったからです。すると、バガヴァンは私の父を見ておっしゃいました。 「他の人たちはどこにいるのですか? 行って呼んできなさい」

 父が他の人たちを呼びに出て行くと、バガヴァンは優しく私を手招きして、私の目を覗き込み、こうおっしゃいました。
「昨日の午後、あなたはどこにいましたか? 」
 前日は土曜日でしたから、私は真面目くさった無表情な顔で答えました。
 教室にいました。スワミ、僕は学校にいました」
 「いつから教室が映画館に変わったのですか? 」
 とスワミはお尋ねになりました。そして、私が座っていた席、一緒に出かけた学友たち、鑑賞した映画、出演していた俳優や女優について話を続けられました。その時までに私の父が部屋に戻ってきました。バガヴァンは父を見つめ、それから私を見つめられました。私は震え上がりました。というのは、父はとても躾に厳しい人だったので、これはきっと忘れられない日になるだろうと思ったからです。しかし、それはまったく別の理由で忘れられない日となりました。スワミは父を見つめ、私に微笑みかけ、こうおっしゃいました。
 「良い子ですが、悪い仲間がいます」
 兄弟姉妹の皆さん、その瞬間、私はこの神に全託したのです。スワミは父や周囲の人々にご自分の全知を示すことができたはずでした。しかし、私が心を入れ替え、変容できるように、この秘密を守ることを選択してくださったのです。 

 これが私たちと共にある神です。これが私たちのために顕現なさったグル〔導師〕です。スワミは私たちと共に、夜となく昼となくそこにいてくださいます。スワミだけが、私たちの秘密をご存知であり、私たちを最後の最後まで導いてくださるのです。幸運なことに、サイは私たちのために学ばせたいと思われた教訓を弱められることはありません。そうです! サイは学ばせたいと思われた教訓が理解できる段階まで、私たちを高めてくださるのです。サイはとても思いやりがあり、とても慈悲深く、とても愛に溢れているのですが、とても厳しくもあり、私たちがその教訓を学ばなければ、容認されることはありません。ずっと私たちが見てきた通り、サイは何度も何度も繰り返されることでしょう。

 バガヴァンは毎夕、私たちの欠点を補うために、多くの時間をさいて同じ御教えを繰り返しお話しくださっています。バガヴァンは、私たちを私たち自身から救いたいと望んでいらっしゃるのです。このグルに敬意を表しましょう。人類が自ら作り上げたものから人類を救うことは、縁の下の力持ちの仕事です。スワミはご自身の人生の黒板に、「私の人生が私のメッセージです」と記されています。そして、私たちが自分の人生の石版にそれを書き写すことを望んでいらっしゃいます。ところが、私たちは何を書いているでしょう? 私たちは、人生という石版にゴチャゴチャと多くの落書きをしているため、ほとんど何も判読できません。それゆえ、バガヴァンはその石版をきれいに拭いてくださいます。つまりバガヴァンは、「過去は過去です。過去は忘れなさい」とおっしゃるのです。皆さんの人生を今日から変えてください。自らを神に捧げる以外に、この神に敬意を表することなどできるでしょうか?

 この神、この主、このグルに捧げる祈りをもって結びとさせていただきます。

Ninne Dhyanichaleni, Dehamelano,
 
Ninne Pujinchaleni, Karamulelano,

Kanuvinduga, Ninu Chudani Kanulelano
 
Ninu Marachi Ninu Talanchani, Janma Melano.


ジェイ サイ ラム
 

1996年7月30日
 
T.ラヴィ・クマール博士

 



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