・ババの御教え


1996年 真実の年

真理は神である。

真理は富と繁栄のみなもとである。

そして、世界の美徳を支えているものもまた真理に他ならない。

 真理のあるところ富と繁栄の女神ラクシュミが住んでいます真理は不変であり永遠です真理は人間が生きていく上で欠かせない重要なものですもし悲惨で苦しみに満ちたこの世に善があるとすればそれは真理のゆえなのです

 上代においては国王は真理に基づいて王国を統治していました彼らは真理を守るためにはすべてのものを自己の生命さえ犠牲にする覚悟ができていましたハリスチャンドラはこのことを示す最高の実例です彼は真理のために妻も息子もそして王国全体も犠牲にしました彼は火葬場の管理人という身分の低い人のする仕事をしようと申し出ることさえしました真理を欠いているがために世界には平和と安全がありません真理は常に国家を守るのです

 今日私たちはこの真理を遵守していません人は有徳の道を捨て真理でないものに関わっています嘘と不正な行ないに没頭して自分の人生を破滅に追い込んでいるのです人は今日真理を尊重する気持ちを失ってしまいました愛は忘れられた価値となってしまいました人々はこの現代の状況下においては正義など何の関係もないものと考えているのです今日人が行なうすべてのことすべての計画や企ては自己中心的なものです霊性修行でさえ社会で認められることを目的として行なわれておりそれは純粋なものというより自己顕示のためのものなのです人間の活動すべてが執着と憎しみに基づいています利己主義と嫉妬が現代の人間を支配しているのです人間としての価値はその力を失いそれゆえ平安と安全はどこにもありません

真実と正しい行ない

 人が基礎をおろそかにしてその上の建築物ばかりに目を向けているときに平安があるはずはありません人生とは楽しんで食べて飲み眠ることだけを意味するという錯覚によって人々は動かされているのですこの考えのもとに人は富を獲得して財産を殖やします彼は自分がこの世に生まれてきた目的を理解しようと試みはまったくしませんたとえ彼が正しい行ないを追求しようと試みても貪欲名誉欲色欲その他の誘惑のためにうまくいきません真理は人の人格を築き上げる基礎です真理が尊重されないときには基礎が弱い建築物のように人生という大邸宅も崩壊してしまいます人はこのことを理解せずに感覚的な楽しみに満ちた人生を追い求めていますそして彼自身の全存在を支えている生命力そのものである真理を顧みないのです

 これはマーヤーによって引き起こされた錯覚のせいなのですマーヤーとは人間がどんなに用心しようとも人間を覆ってしまう奇妙な現象ですそれは人間が行くところどこにでも追いかけてくる影のようなものです影の大きさは光の方向によって大きく変わります人が光の方向に移動し光の下まで来ると影は消えてしまいますすなわちマーヤーは消え真理のみが残るのです

〜  〜  〜

人生という旅のルール

 人生の旅路を首尾良く進めていくことは車を安全に運転することに例えられます安全運転にはスイッチハンドルギアブレーキの操作法の正しい理解が必要です同様に私たちはヴェーダの格言に従う必要があります。「真実を話し正しい行ないをなせ。」という格言がありますがこれは人が良心に忠実であることを助けてくれるものです正しい行ないを実践し真実を話す者は必ずそのうちに神聖な人間になっていきます彼らは川が海に流れ込むように神に融合するのです

 真実と正しい行ないは人間存在の根幹をなすものです人は真実に忠実であることが難しいなどと考えてはいけません実は真実を話すことの方がずっとやさしいことなのです一方嘘をついて取りつくろうためには大変頭を使わなければならないのです

 

1994年3月10日のご講話より

  


目次に戻ります 

(C) 1996 Sathya Sai Organization Japan