サイの御教え
御降誕祭のメッセージ
人々が神の遍在性に気づき始めるとき、変革が起こります。彼らのあらゆる思いと行動が減少してしまうのです。
「この世の悪は誰の責任ですか?」と問う人がいるかもしれません。それは、邪悪な行動に携わっている人々の責任なのです。神は証人に過ぎません。人々が人生の中で受ける報酬や罰は、彼ら自身の行動の結果であって、神がもたらすものではありません。
自らの内なる神性を認識しつつ、一つ一つの行為を神への捧げ物とする精神で行うとき、すべての行為が神聖なものとなります。真我そのものである『私』という意識と、自分の肉体とを同一視することこそが、あらゆる問題の原因です。それによって、『私(真我)』がアハンカーラ(エゴ)に変わります。
あらゆる問題の根源にはエゴが存在します。肉体の世話をすることは何も悪いことではありません。しかし、肉体に対する執着という土台の上に人生を築くようなことをしてはなりません。
このホールに歩いて来るとき、多くの帰依者たちが、私に「ハッピー バースデイ ! (幸せなお誕生日でありますように!)」と挨拶をしました。皆さんは、幸せでない人々のために『幸せな誕生日』をお祈りすべきです。私には皆さんからの誕生日の挨拶は必要ありません。神は永遠の至福そのものだからです。
神は絶えず至福に満ちて、
人々にこの上ない幸せをもたらす。
神はまた、至高の英知の化身そのものであり、
あらゆる対立を超え、果てしない空のごとく雄大で、
雨雲のごとき色をして、完全な姿をもっている。
心の空に立ち込める雲を切り裂いてきらめく稲妻のように、英知が皆さんの心を照らさなければなりません。その英知は、あなたの内なる神を明らかに見せてくれるでしょう。
愛の化身である皆さん! 皆さん方の一人一人が、多額の費用をかけ、様々な苦労を乗り越えてここにやって来ました。『私』という真我の原理を理解するために、最大の努力をしなさい。『私』という真我の原理こそが霊性の基盤です。『私』という意識をアートマ(真我)と見なすとき、あなたはすべての苦しみから解放されるのです。たとえ様々な問題が起きたとしても、(南インドの)山に降る雪のように、間もなく消えてしまいます。なぜそのような、通り過ぎていくだけの雲に心を惑わされるのですか? 真我に基づく英知(アートマ ジュニャーナ)を身につければ、何ひとつ心配する必要はなくなってしまいます。
あらゆる問題が生じるのは、人間が思考作用にとらわれて真我を忘れるからに他なりません。皆さんの人生が真我の輝きによって照らされるとき、雑念は影をひそめてしまいます。肉体と雑念を忘れてしまえば、本当の自分の性質―あなたに内在する真我の原理―を理解することができます。この基本的な真理に気づくとき、あなたは、すべての日常生活を続けながら、献身的にあなたの義務を果たすことができるようになります。
今日、世界中のどこにも平安がありません。そうなった理由は何でしょう? それは、人々が真我意識を忘れてしまったからです。彼らは、精神を信じる心を失い、世俗的な物事に執着してしまうようになったのです。人々は現象の世界を見ています。しかし彼らは、それを神の顕現としては見ないのです。ここに彼らの愚かさがあります。
目で見るものすべてが神なのです。見ている人もまた神なのです。霊性の道は、見る者と見られる者の両者に内在する神を指し示しています。この根本的な霊的一体性に気づけば、人間と自然界の区別は消滅してしまいます。
神が常にあなたと共にあるという確信をもちなさい。母親は子供を忘れるかもしれませんが、神は決してあなたを忘れはしません。神はいかなる母親よりもあなたの身近にいるのです。決して神を忘れてはなりません。
神の御名を唱えるだけでは十分ではありません。神を、心の中に祀らなければなりません。あなたの良心を導き手とし、師としなさい。そうすることによって、本当の帰依心が育ちます。外側のあらゆる持ち物は、いっさい何の役にも立ちません。
すべての帰依者が守るべき、次のような4つのモットーがあります。
1、悪い仲間を避けなさい
2、善い人々との交わりを歓迎しなさい
3、何が一時的なものであり、何が永遠のものであるかを、常に覚えておきなさい
4、絶え間なく有徳の行いに携わっていなさい
このような手段によって、私たちは善良な人間になることができます。『常に助け、決して傷つけてはならない』という格言に要約される*ヴィヤーサ仙のメッセージを忘れてはなりません。もしこういった基本的ルールが守られるようであれば、すべての国が幸せで平和になるでしょう。一つ一つの国が、惑星である地球という館の一部です。バーラタ(インド)もこの館の一部です。私たちがこのような広い視野をもつとき、人類の心が一つになるのです。
スワミは誕生日の祝典を喜んでいるわけではありません。皆さんたちが、全員このお祭りのために集まって来ているので、私は皆さん方に満足を与えなければならないのです。私には何ひとつ欲望がありません。私が行うことは、何であれ、皆さん方のためなのです。この真理に気づきなさい。私はいかなる人をも嫌うことがなく、また誰も私を嫌う人はおりません。すべての人が私のものであり、私はすべての人のものです。私は『みんなが幸せでありますように』という祈りと祝福をもたらします。すべての人が、ダルマ(正しい行い)の道を守る必要があります。すべての人が自分にもともと備わっている霊的至福を顕現しなければなりません。皆さんは、霊的一体性を実現できるようになるときまで、*バジャンや*ジャパや祈りのような、帰依の行為にいそしまなければなりません。
皆さんは、今日私が全員に与えるメッセージの本質を、心に刻み込まなければなりません。私は皆さんが、人生における重要な5つのことをコントロールするよう望みます。
1、お金を無駄にしてはなりません
『お金を誤用することは悪である』ことに気づきなさい。もし皆さんが(バガヴァンの)写真を飾りたいのであれば、一枚だけ持つようにしなさい。なぜたくさん写真を買い過ぎてお金を無駄にするのですか? 次から次に写真を買ってはなりません。
2、食べ物を無駄にしてはなりません
『食べ物は神である』ことに気づきなさい。あなたの肉体は、あなたの両親が食べた食物によって生まれたのです。食べ物を無駄にすることは、神を無駄にすることです。
3、時間を無駄にしてはなりません
時は神です。諸聖典には、様々な言葉で、神が時間の主人として賞賛されています。時間を無駄にすることは神を無駄にすることに他なりません。
4、エネルギーを無駄にしてはなりません
エネルギーは、私たちの行う行動の一つ一つによって消費されます。皆さんが、ものを見たり、聞いたり、ものを言ったり、行動したり考えたりするとき、エネルギーが使われるのです。これらの活動の一つ一つに関して、皆さんは無用のエネルギーを使わないように気をつけなければなりません。
5、神を忘れてはなりません
いかなる瞬間にも、たとえあなたが何をしていようともです。たとえあなたがどんな所に行っても、神はそこにいます。神はいかなるときにも常にあなたと共にあり、あなたのそばにおり、あなたの周囲にいます。ですから皆さんは、わざわざどこかの神殿に行って神に祈りを捧げる必要はありません。
あなたの心があなたの神殿なのです。あなたの目を内に向けなさい。そうすることによって、アートマ(真我)の原理を理解しなさい。
1997年11月23日 サイ クルワント ホール
編注
・ヴィヤーサ仙
インドの二大叙事詩のうちの一つ『マハー バーラタ』も作者と伝えられる聖仙 『編者』の意
・バジャン
神の賛歌
・ジャパ
神の御名を繰り返し唱えること
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