サイの御教え シュリ クリシュナ御降誕祭御講話
神の化身クリシュナ
この日はクリシュナの生誕の日として祝われています。クリシュナは牢獄で生まれました。このことは、私たちが光を得て自由を獲得するためには、神が私たちのハートの中の暗く狭い牢獄に顕れなければならないことを教えています。
マーヤーは神の真実を隠す妄想です。マーヤーは人間の本質が物理的な身体そのものであると捉える傾向にあります。そして、肉体の欲望を満たすように私たちを促します。このようにして人は神を忘れ、代わりに自分の中にある動物的誘惑に耳を傾け、結果として高い理想から落ちてしまうのです。
しかし、クリシュナが人の心の奥深くに生まれるならば、その人は救われます。従って、人は自分のハートの中に神がいることを認識しなくてはなりません。
8番目の子供
クリシュナはデーヴァキーの8番目の子供として生まれましたが、このことには重要な意味があります。精神的な進歩の段階の8番目にあるのがサマーディ(超意識の段階での至福)で、それは内的感覚のコントロール、苦行や神の御名を繰り返し唱えること、座る姿勢、呼吸のコントロール、心のコントロール、集中、瞑想に続く霊的努力の段階なのです。
これらはアシュタンガ ヨーガという8つの戒律として知られています(悪行の回避、戒律の遵守、呼吸のコントロール、姿勢、感覚から心を遠ざけること、集中、瞑想、アートマとの同化)。7つのステップが乗り越えられて、その過程で思いが純粋になって初めて神を見ることができるようになります。
サマーディという言葉は、一般的に一時的な意識の喪失、あるいは一時的な意識の高まりと考えられています。しかし、サマーディの状態かどうかは、その人にもたらされた効果やその人の自分自身や他人への態度を見て判断すべきです。
サマーディはサーマ(平等)とディ(英知)を合わせたものです。つまり、すべての存在が根本的に等しいということを理解している知性のことです。この状態においては、違いや区別に対するすべての感情が消滅するだけでなく、暑さ寒さ、悲しみ喜び、善と悪といった観念も無意味になります。人がこの状態に達したとき、神はその人の意識の中に自動的に生まれます。
神が人間の形をとって顕れる理由
クリシュナは人々の中で普通の人として行動し、神の愛をもって彼の規律を人々が守るよう導きました。クリシュナはほら貝や車輪、棍棒、蓮などで構成される、神のしるしを見せびらかすことはしませんでした。クリシュナは冠すら身に着けませんでした。少年の頃、頭にタオルを巻いただけの姿で牛の後を追いかけて牧草地へ行っていました(ここでババ様は長いタオルをご所望になり、当時クリシュナがどんな様子であったかご自分の頭にタオルを巻いてお見せになりました。その当時は、今と同じようにブリンダーヴァンやゴークルの辺りにはたくさんの孔雀がいたので、落ちている羽を見つけるとそれをタオルの間にはさんだものだとババ様は話されました。敬虔で神と崇める何百人もの帰依者の前でババ様が立ちあがりゴパーラとしての姿をお見せになったことは、稀であり素晴らしい喜びの瞬間でした)。
熱意をもってすべての命あるものとの結びつきをもち、愛を通して彼らの愛を勝ち取ることや、視野を正したり意識を浄化する過程を通して本来自己の核である神性に気づくように導くこと─これが皆さんの目前にある使命です。
人間の形をしていないと、誰も近づこうとはしないでしょう。姿が人間を超えたものであれば、人々は近づかないでしょう。ですからシャーストラ(霊的科学)は、『人間の形をとった神』が人類を救うために顕れなければならないと言っているのです。
『クリシュナの御言葉』は真実
『五大元素』は神の意志から生まれたものです。ですからそれらはクリシュナの意志に従います。クリシュナが言うことはなんでもその通りになりました。実際に真理の唯一正しい定義は『クリシュナがおっしゃること』です。このことを信じなさい。このことを固く信じなさい。
ある日クリシュナがアルジュナと共に散歩に出かけたとき、木の枝にとまっている鳥を指差してアルジュナに尋ねました。「あの孔雀が見えるか?」アルジュナは答えました。「もちろん見えますとも」「アルジュナよ、あれは孔雀ではない。鷲だ」とクリシュナが言うと、アルジュナはすかさずそれが鷲であると言いました。そしてクリシュナが同じ鳥を指差して、「すまない。あれは鳩だ」と訂正すると、アルジュナもまた「そうですね。今見ると鳩です」と言い直しました。クリシュナはアルジュナに向かって笑い、言いました。「あれは鳩などではない。カラスだ」するとアルジュナも異議なく同意して「まぎれもなくあれはカラスです」と言いました。するとクリシュナはアルジュナの愚かさを非難しました。なぜなら、アルジュナは自分が見たもの─孔雀、鷲、鳩やカラスにただ盲目的に同意したからです。するとアルジュナは答えました。「あなたがおっしゃる事は私にとって真理です。あなたはカラスを鳩に、また孔雀を鷲に変えることができます。あなたが宣言されることにどうして私が反対いたしましょう。あなたの言葉が私の従う真理です」
皆さんもそのような信念を育て、自分のエゴや他人の冷笑によってひるまないようにしなければなりません。英知と無執着を育みなさい。そうすれば、皆さんのハートは香り高い美しい花を咲かせるでしょう。
ここにサイが蓮の上に立っている写真があります。サイ クリシュナは皆さんのハートにある蓮の花に座るでしょう。サイ クリシュナは守護者として、案内人として常に皆さんと共にいるでしょう。そして皆さんに恩寵を降り注ぐでしょう。サイ クリシュナは母であり、父であり、教師であり、身近な親族となるでしょう。そして、サイ クリシュナは皆さんにとってすべてとなるのです。
1977年 ブリンダーヴァン
目次に戻ります(C) 1999 Sathya Sai Organization Japan