霊性部 甘露よりも甘美なるもの
1999年と2000年は、人間的価値の年(道徳の年)と定められています。人間的価値と、その基盤である愛についてのスワミの御言葉を、1998年のダセラ祭における御講話より、ご紹介します(1998年9月27日に行われた御講話の一部です)。
大昔、バーラタ(『神を愛する人々』の意─インドの古称)が進歩を遂げることができたのは、聖者や高貴な魂たちのおかげでした。度重なる諸外国の進入にも関わらず、この国が崩壊しなかったのは、霊性の力があったからです。聖者や高貴な魂たちが定めた強固な霊的基盤を保存し、維持するためには、真実・正しい行い・平安・愛・非暴力という人間的価値を養わなければなりません。皆さんがこれらの価値を守れば、これらの価値が皆さんを守ってくれるのです。サンスクリットの諺に『あなたがダルマを守るのであれば、あなたはダルマによって守られます』というものがあります。同様に、ダルマを破壊する人はダルマによって滅ぼされるのです。
あなたの真の姿は愛です。私たちは、愛を通じて初めて何事かを成し遂げることができます。神を探す必要もなければ、何一つ霊性修行を行う必要もありません。『愛は神です。愛に生きなさい』一銭も使うことなく、自分の家の戸口を一歩も出ることなく、あなたは解脱を得ることができます。どうすればそれができるのでしょう?それは愛によってのみ可能なのです。ですから、愛を養いなさい。いかなる人をも憎んではなりません。皆さんを虐げる人々ですらも愛することを始めなさい。そのような人々の中に変化を引き起こすことは、愛を通じて初めて可能になります。あなたが彼らをますます愛することによって、彼らの無慈悲な言葉から受けた苦しみを取り除くことができるのです。無慈悲な言葉は、心に深く突き刺さる鋭い矢に似ています。無慈悲な言葉によって受けた痛みを癒すことのできる薬は、この世には存在しません。あなたが無慈悲な言葉の矢で射られたときは、思いやりに満ちた、優しい愛の言葉を返しなさい。それが最良の薬です。それによって痛みはすぐに取り除かれます。いかなる不治の病でも、愛によって癒すことができるのです。
愛の化身である皆さん! 病気の原因は何でしょう? それは人間が自分で作っている精神的緊張です。緊張は短気を引き起こし、その二つが人間を滅ぼします。すでに水がいっぱいに入っているコップをミルクで満たそうと思ったときは、どうしますか? 最初に水を捨てて、それからミルクを入れなければなりません。同様に、まずあらゆるよこしまな思いやよこしまな感情をあなたの心から取り除き、その後で愛で満たさなければなりません。
一日を愛で始め、
愛で満たし、
一日を愛で過ごし、
愛で終えましょう。
これが神に至る道です。
皆さんは、他の人々に愛を分かち与えることによって、自分の中に愛を育てることができます。愛は決してなくなることはありません。それは甘露のように甘美で永遠のものです。あるときナーラダ尊者がナーラーヤナ神に、甘露よりも甘美なものが存在するでしょうかと尋ねたことがあります。ナーラーヤナ神は「愛は甘露よりも甘美である」と答えました。あなたは甘露を飲み過ぎて飽きることがあるかもしれませんが、愛に関してはそのようなことはありません。愛を味わえば味わうほど、あなたは、よりいっそうの愛を求めるようになるのです。
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